←前のページへ次のページへ→
〜 鉄道模型の小加工をしてみよう<京急2100形編> 〜

社会交通工学科 4年 8046 金元 良平




写真1 マイクロエース製・京急2100形



 2009年に発売されたマイクロエース製・京急2100形は実車の人気もさることながら、完成品モデルとしての出来も素晴らしく、 今年の5月には再生産も行われています。京急2100形の特徴といえば関東の通勤型車両としては珍しい転換クロスシート車である事ですが、 もちろん模型でもその特徴が再現されています。



写真2 模型でも再現されたクロスシート



 ですが模型では再現しきれなかった部分もあります。それは両端の先頭車の座席の向きが揃っていない、という所です。 今回は先頭車の座席パーツに小加工を施して実車同様に両先頭車の座席の向きが揃った状態を再現してみました。



写真3 加工前の先頭車



 加工前の状態ではそれぞれの先頭車の座席が運転室側を向いています。 実車では進行方向に合わせてどちらかの先頭車の座席が運転室とは反対側を向いた状態になります。



写真4 ボディと下回りを分解した状態





写真5 座席パーツのみの状態



 加工をするのは座席パーツのみなので車両を分解していきます。単純に座席部分を切断して向きを変えたいところですが、 先頭車は車椅子スペースを設けている関係で片側の座席が1列分ありません。 座席パーツを切り離したら車椅子スペースと被る部分をカットし、元の向きとは逆に組み直します。



写真6 加工後の座席パーツ





写真7 ボディを被せた状態





写真8 加工後の先頭車



 加工前と見比べると座席の向きが揃えられたのが窓越しでもはっきりと分かります。ですがこのままではまだ終わりではありません。 上の車両の右寄りに注目すると座席が1列分足りません。そこでこの足りない部分の座席を模型用のパテで複製することにしました。



写真9 型取りに使う「おゆまる」





写真10 型取り中



 パーツを複製するにはまず型を取る必要があります。インターネットで調べると「おゆまる」という 子供向けのおもちゃが安価で扱いやすいという検索結果が出たので文具店で購入し使用してみました。 「おゆまる」を熱湯につけて柔らかくし、座席パーツを押し当てて型を取ります。 「おゆまる」が冷えて固まったらパーツを外してパテを盛り付け硬化するのを待ちます。 今回はエポキシパテで複製パーツを作成しました。



写真11 パテを盛りつけた状態





写真12 複製した座席パーツ



 硬化し型から外した座席パーツは実際には1列分しか使わないので不要な部分はカット。バリなども取り除き整形していきます。



写真13 整形した座席パーツ





写真14 車体に取り付けた状態





写真15 ボディを被せた状態(その2)





写真16 塗装中



 複製したパーツの精度は決して良いものではありませんが、ボディを被せると違和感はさほど気になりません。 あとは取り付け位置の調整や塗装をするだけです。欠けている部分や小さな穴をポリエステルパテで埋め、 元の座席パーツに似た色を塗っていきます。座席の枕カバー部分への色差しも忘れずに。



写真17 (ほぼ)完成



 塗装も終わり、再びボディを被せると違和感はもうほとんどありません。これで小加工は完了です。 ちょっとした満足感と達成感が得られました。

今回のような加工作業は初めてだったので時間を掛けて作業しましたが実際には3日もあれば充分でした。 完成品モデルも自分の手を加えることでより愛着が湧いてきます。他の車両にも応用出来そうですが、加工・ 改造は自己責任で行いましょう。




写真18 最後に1枚(ポポンデッタ横浜ビブレ店レンタルレイアウトにて)





 
- 34 -
次のページへ→